厚生労働省は例年通り、一親方等(「等」の意味するところは、役員や家族従事者を含めての意味である)の死亡災害事故の発生状況を公表しました。

死亡災害が発生しやすい工事の種別でみると、建築工事が圧倒的に多く(56件/92件中)全体の発生数の61%を占めていて、次いで土木工事14件(14%)でした。建築工事の中では、木造家屋建築工事が24件、その他の建築工事が24件でした。

事故の型別でみると墜落・転落が最も多く(58件/92件中)63%を占めていました。そのうち屋根・はり・もや・けたから落ちたのが21件足場から落ちたのが15件、次いではしごから落ちたのが7件でした。朝の朝礼での話とか掲示版による注意喚起など、墜落・転落の危険性を常日頃から持続的に意識できるような職場環境づくりが望ましく思います。

年齢別の発生状況でみますと、92件中、50~59歳で20件、60~69歳で26件そして70歳以上で25件と、死亡災害の発生は高齢者で多い傾向が明らかです。高齢者の身体機能の低下は、筋力、平衡感覚、視力や聴力などあらゆる面に及ぶことから、高齢者本人の自覚が大切であることはもちろん、高齢者フレンドリーな職場環境整備にも努める必要があります。

一人親方等については、労災保険への加入の有無が問題です。今回の発表でも、一人親方等の死亡災害事故92件のうち労災加入していた事例は50件、加入していなかった事例は40件であり、労災加入率としては低いといえます。一人親方あるいは一人親方の雇い主には、労災加入へのコンプライアンスを育んでいただきたいと思います。