情緒面や行動面での症状に関する専門医の診断書に、「適応障害」の病名がつくことは少なくありません。適応障害の診断基準には、概ね以下の通りです。確認できるストレス因子があって、3か月以内に情緒面や行動面の症状が現れます。その症状の特徴は、予測を超えた苦痛と社会生活における著しい障害で特徴づけられます。不安障害やうつ状態などの既存の傷害が原因ではないとされ、原因となったストレス状況が排除されれば寛解することが多いです。

適応障害が増えている背景には支え合いやコミュニケーションが欠如しがちな会社環境と孤立感をベースにした家族意識の希薄化などがあると言われています。原因となるイベントとしては、新入社員となって学府から社会へのギャップ、社内における異動直後のストレス、そして長時間労働などによる疲労の蓄積などが言われて久しい。

適応障害の表現型としては、抑うつ的になる傾向、不安感が強くなる傾向と無断欠勤などの規範に反した行為などがあります。先のイベントと並んで、適応障害を疑うポイントになるものと思われます。

適応障害は当に環境の変化に対する個人の適応の過程における躓きであるように考えます。その人が周りに向けて発するSOSでもあるのです。その解決には、本人、ラインそして産業保健スタッフの協力的な対応が不可欠です。アンテナを高くしてSOSに早く気づきチームとして対応できれば、どこかに解決の糸口はあるものです。その人の思いと適性を理解し、自尊心を尊重し、会社への貢献を求めなければなりません。