管理監督者にとって、一生懸命とパワハラの境目は紙一重です。ハラスメントの受け止め方には個人差があり、パワハラになるかどうかは受け手の判断によるところが大きいです。
真意は別として、「そんなつもりではなかった。」は通りません。あなたの部下が何人も去っていくようなことはありませんか?クラッシャーになってはいけません。繰り返しますが、会社のためにも、部下のためにも、何よりあなたのために、クラッシャーになってはいけません。
中央労働災害防止協会の調べによれば、8割の会社で、パワハラが引き金でメンタルヘルス不調者がでていて、3割の会社で退職に至っています。パワハラの定義は「職場の地位の優位性や職務権限を背景に適正な業務指導の範囲を超えて、執拗に、精神的、身体的苦痛を与えること」です。具体的には、人格を否定する叱責、アクションを伴う感情的な叱責、長時間の叱責、怒声・罵声を伴う叱責、皆の前での叱責や繰り返される叱責が該当します。その結果複数の部下があなたのもとを去れば、あなたはクラッシャーになっています。周りからあなたについて、「あまりに度が過ぎているなあ。」とか「あれでは〇〇が気の毒だなあ。」とか「熱心なのはわかるけど、あれではパワハラじゃないの?」と言われるようではレッドカードです。
コアビリーフに縛られてはいけません。「普通」、「当然」、「常識」、「当たり前」の言葉はイエローカードです。コアビリーフが強すぎると、他人を許しにくくなります。部下を自分の思い通りに従わせようとするのではなく、部下を育まなければなりません。試されているのは、部下の能力ではなく、上司であるあなたの能力かもしれません。
労災認定の観点から安全配慮義務を考えると、労災と認定される基準が業務起因性から業務関連性に移行してきており、パワハラの労災認定におけるハードルが一層低くなっていることにも留意してください。
一生懸命仕事をしていたら知らぬ間にパワハラになって、何人もの部下が自分のもとを去っていたなんてことにならないように、仕事のスタイルに磨きをかけましょう。