新型コロナウィルス感染症については、感染者のうち一定割合で症状が出ない無症候性患者が存在することは知られていますが、その割合については報告される内容がまちまちで信頼性のある数値はわかっていません。

Medical Tribune社によれば、医学雑誌Ann Inter Medに発表された論文(米・Scripps Research Translational InstituteのP. Oran氏とEric J. Topol氏)の中で、今まで発表された新型コロナウィルス感染症の無症候性感染者に関する16個の論文の解析から、無症候性患者は感染者のうち40~45%に上り、感染の拡大に及ぼす影響が大きいと結論しています。その感染力は無症候でありながら14日間持続することもあるといいます。ある研究では、無症候性患者のうち肺のCT検査をすると54%で異常を発見できることから、不顕性の肺機能異常にも留意する必要があります。

感染者のうち半数近くが無症候という結果からは、感染の有無が不明の段階で無症候であっても、マスクを着用することは感染拡大防止の観点からは重要と考えられます。無症候者に一様にPCR検査や抗原検査を施行することの是非についてのコンセンサスは得られていません。

知らぬ間に感染していて、知らぬ間にウィルスを放出している可能性を考えれば、PCR検査や抗原検査のハードルを下げて、誰でも、いつでも、無症候でも検査を受けられる(保険適応などの問題はさておいて)ことになれば、感染拡大防止に寄与するところ大であると考えます。