睡眠時無呼吸症候群はSleep Apnea Syndrome(SAS、サス)とも言います。
山陽新幹線の運転士が居眠り運転をし、800名の乗客を乗せ、時速270kmで8分間暴走した事件がありました。この事件で、SASが世間に知られました。

どうして無呼吸が発生するかというと、眠ると筋力が低下し舌根部が落ち込んで気道を閉塞することで発生します。肺への空気の吸入がなくなることで、血液中の酸素が減少すると同時に二酸化炭素が上昇します。各臓器が酸素不足になり、特に心臓をはじめとする循環器系への負荷が増加します。睡眠中の突然死、高血圧症や不整脈などの不都合が生じます。SASは睡眠時のイビキで気づかれることも多いですが、イビキは気道閉塞の黄信号です。

SASになると、昼間の異常な眠気や集中力の低下などから生産性が著しく障害されます。SAS患者では交通事故の発生率が高く、寿命が短いことが分かっています。ちなみに、SASは男性で多く、女性の2倍です。SASの潜在数は300万人といわれ、なんと人口の2%です。

確定診断は、入院におけるポリソムノグラフィー検査が確実です。治療は陽圧呼吸機器(CPAP、シ-パップ)の装着による就眠です。数日後からイビキがなくなり、睡眠に充足感が得られます。数週間後には日中の活動量が増加し、体重も減少するという好循環が得られます。そうなれば、CPAPからの離脱も可能です。

昼間の異常(だるさ、睡眠の非充足感、集中力低下)に気づいたら、SASを疑ってください。