化学物質による胆管がんの集団発生の事例があってから、厚生労働省は法改正を施行し化学物質管理の在り方を見直し、800種類にも及ぶ化学物質についてリスクアセスメントを義務づけし、化学物質による健康障害の防止策を強化しました。

化学物質の性質上、発散状況は把握しにくく、ばく露したとしてもその時点では苦痛を伴わないなどの特徴があります。見えない化学物資について、その発散状況、作業中のばく露の危険性や使用料などの把握に努め、ばく露を低減することが一義的な課題となります。そのためには、化学物質に関わる作業環境管理、作業管理、設備装置の管理と作業手順の策定が肝要であります。

作業環境管理は、工学的な対策により化学物質の漏えいを作業環境から減らすことを目的に、化学物質の使用条件の改善、作業工程の吟味、設備の密閉化や局所排気の設備などを考慮します。

作業管理は、作業の姿勢や位置の工夫、各種の保護具やばく露時間の短縮などを試みます。

一般的には作業環境管理の後に試みる手段です。

設備装置の管理は保守点検の励行などで担保します。作業手順の策定はヒューマンエラーの防止を目指すものであり、労災などの事故が発生した際には、手順書が策定されていたか、あるいは手順書通りに作業していたかがまず着眼されます。

厚生労働省からはがん原性指針が発令されていて、発がん性が確認されている29物質につき措置ない内容が規定されています。

特に、特定臓器に毒性を有する化学物質については、単回ばく露/反復ばく露を問わず、致命的になることも報告されていることにも注意してください。SDSの正しい活用が望まれます。