ハラスメントという言葉は、コンサルタント会社クレオ・シー・キューブの当時の代表・岡田康子氏によって、「上の者が下の者にする嫌がらせの総称」として提唱された和製英語であります。

言葉の意味は時代の流れの中で少なからず変遷し、現在では厚労省をはじめとする関係公的機関によっても言及されています。その要点は、ハラスメントは、「地位の優位性を背景にして」、「指導の範囲を超えて」、「執拗に」精神的、身体的苦痛を与えることと定義されています。厚労省からは、精神障害労災認定基準が発出され(2011年)、ハラスメントの類型が具体的に30数例のパターンで、しかも、その強度を強中弱の三段階に分けて例示しています。

8割の事業所でハラスメントによるメンタルヘルス障害者が発生し、3割の事業所でハラスメントが引き金となって休職者や退職者が発生しているとする調査報告もあります。

ハラスメントは、民法、刑法、労働契約法ならびに労災認定などの法的責任を問われることがあり、そのハードルは明らかに低くなっていて、賠償義務や事業所のイメージダウンなどのコストに繋がることも少なくありません。

一方で、適切な指導や助言はハラスメントにならないことは、多くの判例が示すところであります。適切な指導を適正に行うことをためらわず、変に萎縮することなく業務を遂行する意思は、コンプライアンス順守にかなう共通した意思であると思います。

ハラスメント防止の三か条

〇人格尊重の心

〇コミュニケーション維持の大切さ

〇指導や注意は、事例性や内容に立脚しておこない、人格攻撃はしない