蜂の毒に体が強く反応してしまうと、アナフィラキシーという瞬時に強い異物反応(アレルギー)を起こすことがあります。時にはショック死することもある恐ろしい状態になります。日本で蜂刺されで亡くなる人は、緊急時の対処法が確立してからは少なくなる傾向があるものの、年間10数人から20数人の人が蜂刺され後のアンフィラキシーショックで死亡します。
アナフィラキシーショックになると、気道の粘膜が腫れて空気の通り道が狭くなることによって呼吸困難(ゼーゼー、ヒューヒュー)になります。血管壁のショックで弾力性がなくなると血圧が下がり、意識が遠くなりグッタリ(脳の血流低下)します。皮膚症状としては、蕁麻疹、瞼や唇の腫れが出現します。アナフィラキシーショックの病態が完成すると、総じて重症感がありますが、その初期には軽症に見えることもあります。帰宅後や一人で休んでいる間に重症化することもありますので、救急車の手配をして、一人がついていることが大切です。
「エピペン」は蜂に刺された後のアナフィラキシーショックの予防や重症化予防に、緊急時に用いる自己注射薬です。内容物はエピネフリン(血圧上昇効果)でペン型の注射器です。大腿部に突き立てて押し付けると、エピネフリンが自動的に注入さる仕組みになっています。特に林業や木材製造業に従事する人では、「エピペン」を携行してお仕事をしている人も少なくありません。公園管理事務所などでも、「エピペン」を一括購入して職員に配布しているところもあるようです。