7月以降、全国的に陽性者が激増している中、事態は混沌としています。他方、ワクチンの接種回数が1億1千万回を超え、高齢者の重症者や死者が減少しています。

 新型コロナへの対抗手段として「予防」と「治療」があります。現在、我々は予防としてはワクチンの効果に頼っています。一方治療薬としては「抗体カクテル療法」など数種の点滴薬を手にしているもののいずれも入院治療における手段です。インフルエンザにおける例えばタミフルのような比較的簡便な新型コロナにおける内服治療薬は手にしていません。

 ここで、新型コロナのPCR検査あるいは抗原検査陽性で軽症の人が服用できる飲み薬があれば、医療体制への負担軽減に繋がることはもちろん、新型コロナへの恐怖心あるいは社会経済活動の制限はかなり軽減すると考えられます。

 現在、新型コロナ軽症者向け飲み薬の開発は少なくとも4社で開発に取り組んでいます。例えば、S社が開発する飲み薬候補は1日1回×5日間程度の内服を想定していて、感染初期の軽症者における症状改善や重症化予防を目的にし、すでに第一段階の臨床試験を終了しています。現在も条件付き早期承認手続きを利用した年内承認を視野に開発が進んでいます。

 限られた医療体制の中で、ワクチンによる重症化リスクの軽減に加えて、入院に至らない感染初期における軽症者に対しての簡便な飲み薬の早期承認を切に願っています。